BUCK-TICK 4thアルバム『惡の華』を聴いた感想とレビュー

悪の華 (デジタル・リマスター盤)

 

1990年にリリースされた4枚目のアルバム。
半年間の休止期間を経た復帰作であり、オリコンチャート1位も獲得したBUCK-TICKで最も売り上げの高いアルバムです。

本作はBUCK-TICKの存在感とカラーを植え付けるきっかけとなる作品になっていて、完成度の高い作品へ仕上がっています。



 

 

収録曲視聴後の感想

1.NATIONAL MEDIA BOYS 詩・曲:今井寿

イントロからテンションが爆上がりするこの曲。
ギターとベースの兼ね合いがとても良く、非常にライブ向けする一曲です。

ロックなんだけどテクノっぽさもあり、今井さんの飛びぬけたセンスが輝いています。
特に最初のサビの後のギターソロはめちゃくちゃカッコいいです。

ライブで間近で聴いたときに今井さんのファンになった瞬間を、昨日のように今でも色濃く覚えています。

歌詞はアドルフ・ヒトラーを表現しているのかなと。
独裁者と呼ばれた男にどこか感ずるものがあったのかは分かりませんが、当時の今井さんの歌詞はかなり刺激の強いものが多いですね。

 

2.幻の都 詞:櫻井敦司/曲:今井寿

1曲目と比較するとミドルテンポでしっとりとした曲調。
ベースの重低音が響いているのも特徴的。

歌詞は男女間の交わりを描いているようで、櫻井さんらしい歌詞です。

 

3.LOVE ME 詞:櫻井敦司/曲:今井寿

ライブの定番曲となっているこの曲。
観客が左右に手を振る光景を一度は見たことがあると思います。

原曲は2曲目同様にミドルテンポで、それに合わせて櫻井さんがしっとりと歌い上げている。
どことなく感じる一体感が、この曲の人気の理由かもしれませんね。

 

4.PLEASURE LAND 詩・曲:星野英彦

ここからローテンポなバラードへ突入。
星野さんらしい優しい曲調が特徴的。

そしてこの曲は作詞も星野さんが担当しており、BUCK-TICKの中でもとても珍しい曲だと思います。
このローテンポに合わせた神秘的な情景を表現した歌詞は結構合っているが、トーンが高いのか当時の櫻井さんは歌い辛そうに聴こえました。

BUCK-TICKも曲数が多くなってバラードソングも1級品のものが増えており、それらに比べると少し後ろに下がる曲かな。

 

5.MISTY BLUE 詞:櫻井敦司/曲:今井寿

4曲目と引き続きバラード。
この曲は今井さんが作曲をしており、4曲目と5曲目で星野さんと今井さんそれぞれの特徴を感じることができます。

少しダンスチックな雰囲気もある曲調で、櫻井さんが描く男女の許されざる恋を表現した歌詞と絶妙にマッチしている。

2022年のライブツアー『FISH TANK × LOVE & MEDIA PORTABLE ONLY LIVE』で久しぶりに演奏してくれましたが、櫻井さんの歌唱力と表現力が上がったことでより一層禁断の世界観を楽しむことができました。

 

6.DIZZY MOON 詞:ヤガミトール/曲:星野英彦

前曲2曲から転調し、疾走感のあるビートロックな曲へ。
ギターのカッティングによる音色とドラムの激しい音がマッチした、聴いていてテンションの上がる曲となっている。

映画のような情景を想起させるアニイの歌詞も、この曲のテンポに合っていて楽しく縦ノリが出来る曲へ仕上がっています。

アニイの歌詞も櫻井さんや今井さんと違って個性的で、また書いてほしいなと思います。

 

7.SABBAT 詞:櫻井敦司/曲:星野英彦

オリエンタルな雰囲気を感じられるゆっくりした曲調の1曲。
星野さんが得意とするフレーズであろうか、最近のアルバムでもこの曲調を持った曲がいくつか見かけます。

この曲に合わせて櫻井さんが妖艶に歌い上げるので、とても聴き心地のよい曲に仕上がっています。

 

8.THE WORLD IS YOURS 詞:櫻井敦司/曲:今井寿

曲調や雰囲気は2曲目の『幻の都』に似ていて、歌詞も男女の恋愛を劇的に表現しているように感じる。
シンプルなテンポで小気味よく展開していくので意外と好きな1曲。

次の曲への繋ぎとしての役割も十分に果たしていると思います。

 

9.惡の華 詞:櫻井敦司/曲:今井寿

本アルバムの表題曲であり、BUCK-TICKの代表曲。
激しいロック調に櫻井さんの力強い歌声が重なって、アップテンポな1曲になっている。

そして、エロティックな櫻井さん節も炸裂しており、今なおライブで披露されたときにはテンションが自然と上がってしまいますね。

シンプルながら存在感を感じられるので印象に残りやすく、BUCK-TICKを初めて聴く方にはオススメしたい曲の1つです。

 

10.KISS ME GOOD-BYE 詞:櫻井敦司/曲:今井寿

本アルバムのラストを担う1曲は、男女の別れを情緒的に描いたバラードソング。
今井さんの曲の引き出しもさることながら、情景が映像としてパッと思い浮かべることができるくらいに櫻井さんの歌詞センスの高さに驚かされる。

この曲も2022年のライブツアー『FISH TANK × LOVE & MEDIA PORTABLE ONLY LIVE』で久しぶりに演奏されましたが、櫻井さんの表現力が上がっていて、より一層素晴らしい曲に仕上がっていた。



お勧め曲

NATIONAL MEDIA BOYS』:今井さん節と縦ノリのロックテンポが最高の1曲。

惡の華』:ライブで盛り上がるし、シンプルなロックナンバーという点が良い。

KISS ME GOOD-BYE』:櫻井さんが表現する世界観を感じられる1曲。



まとめ

ロックテンポでテンションが上がる曲とバラード調のしっとりした曲がバランス良く収録されていて、聴きごたえがあって飽きない1枚でした。

リピート性も高く、完成度は高いと思います。

BUCKーTICKを始めて聞く方にもオススメできる1枚で、BUCK-TICKが築いた世界観の礎とも言えるアルバムだと感じました。