BUCK-TICK 5thアルバム『狂った太陽』を聴いた感想とレビュー

狂った太陽 (デジタル・リマスター盤)

1991年に発売されたメジャーデビュー後5枚目のアルバム。

前アルバム惡の華から約1年ぶりのアルバムで、早いペースでリリースされています。

h4tkhr.hateblo.jp

 

シングルカットで先行リリースされた『スピード』『JUPITER』『MAD』など、近年ライブでも演奏されることが比較的多い曲が収録されているので、BUCK-TICK初心者にもお勧めの1枚です。

 

 

 

 

収録曲視聴後の感想

1. スピード 詞:櫻井敦司 / 曲:今井寿

速いテンポが特徴的な一曲。

ドラムのビートが心地よくて気持ちよい縦ノリができる、ライブ向けの曲だと思う。

事実、近年のライブでも比較的演奏率の高い曲だった。

また、本アルバムの一曲目に持ってきたこと、アルバム販売前の先行シングル曲に選んだことも納得できる。

このハイテンポな曲調に薬物中毒の男女を表した歌詞がすんなりと入ってくる。

そして歌謡曲のような言葉遊びも自然と受け入れられる理由なのかもしれない。

 

2. MACHINE 詞:櫻井敦司 / 曲:今井寿

一曲目の『スピード』同様にハイテンポなロックソング。

歌詞の内容も『スピード』と似ているが本曲のほうが、より疾走感のある曲に思う。

【THE DAY IN QUESTION 2017】*1で初めて生演奏を聴いた時には、やっぱり会場のボルテージが高くなっていたのを覚えています。


3. MY FUNNY VALENTINE 詞:櫻井敦司 / 曲:今井寿

前の2曲とは異なるムード歌謡のような曲調で、どこか親和性を感じる1曲。

この曲調にエロティックな表現の歌詞がピッタリハマっており、繰り返し聴いても飽きることのない中毒性のある曲だ。


4. 変身(REBORN) 詞:櫻井敦司 / 曲:星野英彦

この曲から星野さん曲が3連続流れます。

アップテンポなロック調の曲だが、途中に転調も入ることで最後まで飽きることなく楽しめる曲。
ライブで演奏したら間違いなく盛り上がっただろう。

歌詞の内容は薬で狂った男の様子を描いているように思える。

 

5. エンジェルフィッシュ 詞:櫻井敦司 / 曲:星野英彦

『MY FUNNY VALENTINE』が今井さんが表現する歌謡曲だとすると、この曲は星野さんが表現するムード歌謡だと思う。

歌詞も『MY FUNNY VALENTINE』同様に人間の性の営みを表現しているが、こっちは同性愛とも取れるような描写が見られ、そういった解釈の違いもまた面白い。


6. JUPITER 詞:櫻井敦司 / 曲:星野英彦

櫻井さんが死別した自身の母のことを描いた曲。

星野さんが奏でるアコースティックギターの響きがとても良い塩梅だし、作曲時にアコースティックギターを使うと決断した星野さんのセンスも光っている曲だ。

歌詞・曲・パフォーマンス、全てが1級品。

星野さん作曲の曲の中ではトップ3には間違いなく入ると思うし、BUCK-TICK全曲の中でもトップクラスに好きな曲である。


7. さくら 詞:櫻井敦司 / 曲:今井寿

『JUPITER』と同様に櫻井さんが死別した母のことを描いた曲。

静かにビートを刻むロック調のテイストだけど、どこか穏やかさを感じられてスッと入ってくる1曲。

【ロクスソルスの獣たち】*2で初めて生演奏を聴いたときは櫻井さんの表現力が磨きに磨かれた点もあってか、鳥肌が立つほどに感動したの覚えています。

『JUPITER』とこの曲は描いている内容は同じだけど、描き方によって聴き手が浮かぶ情景が変わる素晴らしい例だと思います。


8. Brain,Whisper,Head,Hate is noise 詞・曲:今井寿

今井さん作詞作曲の曲は理解が追い付かない曲もあるのだが、この曲もその一つだと思う。

電子的なイメージを想起させつつも生命体の誕生を描いているようにも感じるが、さっぱり見当がつかない。

そして奇妙なミドルテンポの曲調が一度聞くと頭の中に強く残るし、櫻井さんの歌唱だけでなく今井さんのコーラスがバッチリ重なっているところも癖になって、何度も聞きたくなるリピート性がある。

もしそれが今井さんの狙いだったとしたらとも思うと、なかなかに興味深い1曲だ。

 

9. MAD 詞:櫻井敦司 / 曲:今井寿

ドラムがテンポよく響くビートロック調の1曲。
縦ノリが楽しめるスピード感があり、シングルにふさわしいと思う。

歌詞の内容的にはジャンキーを描いているのであろうかと想起ができ、このアルバムのコンセプトに合っているかなと。

 

10. 地下室のメロディー 詞:櫻井敦司 / 曲:今井寿

ハイテンポなビートロック調の1曲。

閉じ込められた男が段々狂っていく様を描いた歌詞がいかにもタイトル通りだし、この曲調からその姿を想像できるのも面白い。

直球のロックソングだからこそ生演奏で聴いたら迫力がもっと感じられただろうなと思う。


11. 太陽ニ殺サレタ 詞:櫻井敦司 / 曲:今井寿

本アルバムの最後を飾る1曲。

しっとりとした荘厳な雰囲気がある曲調で、死を目の前にした最後の時を描いているかのような歌詞ともマッチしている。

 

 

お勧め曲

『JUPITER』BUCK-TICKのバラードソングの中でも至高。BUCK-TICK初心者にはまず聴いてほしい。


『Brain,Whisper,Head,Hate is noise』今井寿が表現する世界観が味わえる。

 

地下室のメロディー:シンプルなビートロックでテンションが上がる。

 

 

まとめ

ビートロック、オルタナティブロック、アコースティックなど様々なテイストの曲が収録された1枚で、BUCK-TICKをまず聴いてみようと思った方にもお勧めできます。

どのアルバムから聴こうかなと悩んでいる方、まずはこのアルバムから手に取ってみてはどうでしょうか。

BUCKーTICKの世界観をどっぷり堪能することができるでしょう。

 

 

 

 

 

*1:2017年10月21日~12月29日まで全国18公演のライブツアー

*2:2019年5月25日・26日で千葉県幕張メッセで開催したワンマンライブ