BUCK-TICK 櫻井敦司の急逝を聞いて

 

2023年10月19日

音楽バンドBUCK-TICKのボーカル、櫻井敦司さんが亡くなった。
57歳という早すぎる旅立ちでした。

大切なお知らせ | BUCK-TICKオフィシャルサイト



 

 

10月24日訃報を知った当日の記憶

このニュースを知ったのは、10月24日(火)14時ごろ。
いつもよりも遅い昼休みを取っていた時でした。

BUCK-TICKのファンクラブ『FISH TANK』からのメルマガを受信、その件名に胸騒ぎを覚えながら添付のリンクをアクセスした。

そこに書いてあった内容には正直目を疑った。
「そんなわけが無い。見間違いだ」と思って何回も読み返して、ようやく状況を把握した。

胸のざわつきとポッカリ空いた喪失感は、昼休み明けの仕事が全く手がつかないほどに大きかった。

 

いつかこの日はやってくるのは分かっていたけど、今はその覚悟をできていなかった。

突然の訃報に頭は真っ白になったとともに、メンタルはかなり不安定に落ち込んだ。

11月に入ってようやくほんの僅かだけどメンタルが回復し、あの時の記憶を文面として残そうと思って今回の記事を書くことにしました。



10月19日ライブ当日の記憶ー開演前までー

10月19日(木)KT Zepp Yokohamaから、約2か月にわたるライブハウスツアーが始まった。

今回は『FISH TANKer's ONLY 2023』と『BUCK-TICK TOUR 2023 異空-IZORA- ALTERNATIVE SUN』の2本立て。

19日は『FISH TANKer's ONLY 2023』初日だった。

 

『FISH TANKer's ONLY 2023』は都合上この日しか観に行くことが出来なかったので、どういう演出でセトリなんだろうとワクワクしながら、入場開始時間に間に合うよう余裕をもって会場へ向かった。

運良く今井さん側の最前列をゲットし、開演まで12月に発売予定の『TOUR THE BEST 35th anniv. FINALO in Budokan』の映像を見ながら準備体操をして待っていた。



10月19日ライブ当日の記憶ー開演後から公演中止までー

18時30分が少し過ぎたころ、ステージが暗転して開演を示すSEが流れた。
その瞬間後ろから強く押されて前方のバーにあばらを強打。

「コロナ禍になる前はこういう感じだったなあ。今までの日常が戻ってきたんだ」と考えていたら、メンバーが一人ずつ登場。

今井さんの目の前を陣取った私はギターを弾く今井さんを見て、あばらの痛みを忘れるくらいテンションが上がった。

そして櫻井さんが最後に登場し、1曲目のSCARECROWのイントロが流れた。
ライブハウスツアーが始まった高揚感で気持ちがいっぱいとなり、今井さんを目の前に見れる喜びで満ち溢れていた。

 

SCARECROW』を歌っている櫻井さんを見たときに若干の違和感は覚えたが、初日だからかなとしか思っていなかった。

SCARECROW』終わりに櫻井さんが体勢を崩して転倒したのが薄っすらと見えたが、これは表現の一つだと見ていた。

2曲目の『BOY septem peccata mortalia』が中断することなく始まったのもあり、この時までは体調不良だったとは考えていなかった。

2曲目は目の前の今井さんをずっと追いかけていたが、2曲目の櫻井さんの状況をふと見たときに1曲目で覚えた違和感が膨れ上がった。

 

『BOY septem peccata mortalia』の演奏中はアニイ以外のメンバーがステージ上自由に駆け回ることが以前のライブからも恒例と言ってもよい光景であり、櫻井さんもかなり激しいパフォーマンスで表現をすることが多い。

ただ、この日の『BOY septem peccata mortalia』を歌っていた櫻井さんはステージ中央の最初の立ち位置からほとんど動くことなく歌っていたので、普段とは違うなという感想が生まれていた。

 

そして3曲目『絶界』が終わった後、ステージ中央で櫻井さんがスタッフを呼んで何やら話している姿が薄っすらと見えた。

「何か音響のトラブルとかがあったのだろうか」と考えながら櫻井さんを見ていたら、櫻井さんがバランスを崩して倒れそうになっていた。

そのまま櫻井さんがスタッフさんの肩を借りてステージから去っていき、このときに『BOY septem peccata mortalia』で感じた違和感が確信へと変わった。

その後他のメンバーもステージから去っていき公演は一時中断。
しばらく待っていたらスタッフさんが出てきて「本日の公演は中止いたします」と一報があがった。



10月19日ライブ当日の記憶ー公演中止を聞いた後ー

公演の中断及び中止に残念な気持ちは無く、櫻井さんの体調に不安を覚える気持ちでいっぱいだった。

退場を待つ間に周りのファンの方とも話していたが、以前のツアー中にも消化管出血で一時延期となったこともあったので、公演中止となったその日はとにかく不安でしかなかった。

当日中に翌日20日のライブも公演延期の知らせが届き、そこからはメンバーのSNSもチェックしながら公式からの続報を待っていた。



10月24日訃報を知ったその後

不安な気持ちのまま10月24日に至り、前述のとおり櫻井さんの訃報を知ることとなった。

19日の23時頃息を引き取ったと発表があったので、ステージから降りて僅か4時間ほどでこのようなことが起きてしまったのだと思うと、何も言葉にできずにただただ心が圧し潰されるような深い悲しみに襲われた。

このような形で5人でのBUCK-TICKが見られなくなってしまい、自分の中の大きな1ピースがポロっと取れたような喪失感があった。

 

あの日ステージに立った櫻井さんが最後の姿で、もう会うことは無いんだなという悲壮感が襲ってくる。

最終的には憂鬱な気持ちになって何も手を付けられなくなるほどだった。

19日に歌ってくれた3曲を連続して聞くと、あの時の光景がフラッシュバックしてしまうくらい辛い記憶が浮かんでくる。

そしてステージから一時去った櫻井さんが何事もなく戻ってきて、4曲目/5曲目といつもの調子で歌ってライブが再開される夢を見ることもあった。

 

それほどに櫻井さんの訃報は、事実だと未だに受け止め切れていない自分がいます。



今後のBUCK-TICKに抱く気持ち

櫻井さんの訃報が報じられた10月24日、今井さんがご自身のSNSを更新してくださった。

バンド仲間ではあるが、それ以前に高校時代の友人である櫻井さんの突然の旅立ちに悲しまれているだろうに、ファンを気遣っていただける言葉を出していただけたところには、正直心が少し救われました。

 

今後BUCK-TICKというバンドがどのような活動をしていくのか、現状は全く予想ができない。

今井さんは続けると仰ってくれたが、果たして本当に継続的に活動するのかどうかはわからない。

ただ、BUCK-TICKの曲や世界観が大好きだったので何らかの形で活動を継続してほしいというのが、私の本音です。

 

これから先は公式からの発表を待つしかないが、少しでも良いので前向きになれる知らせを聞きたいと思っています。

櫻井さん、今まで活気ある素晴らしいコンサートを開いていただきありがとうございました。
安らかにお眠りください。心からご冥福をお祈りいたします。