BUCK-TICK 3rdアルバム『TABOO』を聴いた感想とレビュー

TABOO (デジタル・リマスター盤)

 

1989年に発売された3rdアルバム。
ヤガミトールが作詞した珍しい曲も収録されています。

TABOOというテーマに沿った楽曲を中心に収録されており、BUCK-TICKの世界観が色濃く表現されたアルバムです。

 

 

 

 

収録曲視聴後の感想

1.ICONOCLASM 詩・曲:今井寿

BUCK-TICKの隠れた代表曲。
ライブでの演奏率も高く、今でも人気の1曲です。

イントロからテンションが上がり、聴いていると身体が勝手に動き出すほど。

タイトルは偶像破壊を意味しており、そのタイトルに負けないくらい歌詞も挑発的。
1度聴けば頭に強く残る刺激的な曲ですが、セルフカバーアルバム『殺シノ調べ This is NOT Greatest Hits』で爆発的な進化を遂げ、個人的にはカバー版のほうが好きです。

 

2.TOKYO 詞:櫻井敦司/曲:今井寿

アップテンポな曲調と今井さんのコーラスが記憶に残る1曲。
そして、刺激的な歌詞も印象的です。

精神的に狂った男女と常に移り変わる東京が、電脳的で壊れていくように見えたのでしょう。
魅力と誘惑が詰まった街だけど、それと同時にどこか怖さもあるように感じる歌詞です。

またライブで聴きたいけど、おそらく選曲されないでしょう。
なんとなくですが。

 

3.SEX FOR YOU 詞:櫻井敦司/曲:今井寿

男女の営みを櫻井さんなりに表現したセクシーな1曲。
静かなミディアムバラードの曲調もピッタリです。

直接的な描写と間接的な描写が織り交ざっているのが、詩的で素晴らしい。
この曲も、なんとなくですが今後ライブではやらないような気がします。

 

4.EMBRYO 詞:櫻井敦司/曲:今井寿

胎児の中絶をテーマとなっており、このアルバムの世界観に合った曲だと思います。
悲壮感と憎悪を抱いてしまうかのような歌詞なので、個人的にはあまり聴かない曲です。

ビートロック調の曲調なので、曲自体は好きなほうなんですがね。
こればかりは歌詞への考え方というか、捉え方の問題もあると思います。

 

5."J" 詩・曲:今井寿

歌詞に出てくる”Mr.J"とは昔ロンドンを震撼させた切り裂きジャックのことで、本曲は切り裂きジャックをテーマにした曲のよう。

切り裂きジャックも確かにTABOOだなと思いますし、このアルバムに相応しい1曲かと。
何種類かの音を複雑に重ねているので、これをライブで演奏するのはほぼ不可能かなと思います。

今井さんなりの切り裂きジャックを表現しており、これが私がイメージする切り裂きジャックにもしっくりくるので、結構好きな曲です。

 

6.FEAST OF DEMORALIZATION 詞:ヤガミトール/曲:星野英彦

アニイが作詞した珍しい1曲。
力強いロックナンバーに仕上がっており、櫻井さん以上に比喩表現が多様でメッセージ性もあって面白い曲です。

表現力と演奏技術が高くなったBUCK-TICKに演奏してほしいですが、多分これもやらないんだろうなと勝手に思っています。

 

7.ANGELIC CONVERSATION 詩・曲:今井寿

ライブで定期的に演奏されるので聴いたことある方も多いのではないでしょうか。
最近だと『THE PARADE 35th anniversary-HIGH SIDE-』でRemix版を演奏してくれました。

幻想的で明るい曲調の1曲であり、このアルバムでは異彩を放っています。
櫻井さんの力強い歌声と優しい音色がピッタリと一致していて、とても素晴らしい1曲です。

 

8.SILENT NIGHT 詞:櫻井敦司/曲:今井寿

本曲はBUCK-TICKのクリスマスソングと言うべきでしょうか。
神妙だけど猟奇的でエロティックな雰囲気が醸し出される異様な1曲です。

櫻井さんが当時は不慣れな高音を必死に出して歌っている姿が、より一層この曲の猟奇的な模様を浮き出させているかもしれません。

そして、今井さんの作曲センスというか引き出しの多さは、この時から驚かされるものがあります。

余談ですが『THE DAY IN QUESTION 2019』で本曲の生演奏を初めて聴きましたが、歌唱力が格段に上達していた櫻井さんがしっとりと上品に歌い上げており、とても感動的な時間を体験できたことを今でも色濃く記憶しています。

 

9.TABOO 詞:櫻井敦司/曲:今井寿

本アルバムの表題曲。
落ち着いたバラード調に沿って愛した人への別れをしっとり歌い上げる1曲。

櫻井さんにしては珍しく結構直接的な表現を使っており、私的には好きな部類の曲です。
今の櫻井さんが歌ったら色気がムンムンと感じられて、妖艶なステージになりそうですね。

期待は低いですが、生演奏で聴きたい曲です。

 

10.JUST ONE MORE KISS 詞:櫻井敦司/曲:今井寿

BUCK-TICKの代表曲といっても過言ではない1曲。
初恋のときめきを描いたようにも感じますし、叶わない片思いを表現しているようにも感じます。

アニイのドラムが軽やかに響き、とてもキャッチーな曲調が特徴的。
歌詞と曲調がマッチし、ポップなんだけどロックぽさもあります。

実にBUCK-TICKらしい曲ですね。

 

11.TO-SEARCH 詩・曲:今井寿

2002年の初回限定盤にのみ収録。
インディーズ時代に発売したシングルであるが、近年も定期的に演奏してくれる1曲です。

激しいロックソングで縦ノリの曲調。
音楽で勝負をしていこうという気概のようなものも感じる歌詞であり、粗削りだけどBUCK-TICKぽさがあって好きですね。



お勧め曲

『ICONOCLASM』BUCK-TICKといえばこの曲!ってくらいバンドを象徴した色濃い曲なので。

『ANGELIC CONVERSATION』:幻想的なメロディと歌詞が素晴らしい。

『SILENT NIGHT』:魅惑的な世界観を感じられる1曲なので。



まとめ

BUCK-TICKの世界観が色濃くなってきて、少しずつディープな様子が見えてくるようになったアルバムです。

ダークで重い曲が多いですが、『ANGELIC CONVERSATION』『JUST ONE MORE KISS』がいい塩梅で中和してくれているので、全体を通して聴きやすくリピートもしやすかったです。